第19回 高知ファイティングドッグス サンホ・ラシィナ 選手2013年07月24日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

【目次】
[1]アフリカ発独立リーグへ:ブルキナファソからやってきた野球少年、ラシィナ君
[2]ブルキナファソと日本の違い
「3」トライアウトの結果に集まる期待

トライアウトの結果に集まる期待


 ブルキナファソに野球が伝わったのは、ごく最近のことだ。1999年に現地のビジネスマン、ンジャイ・イブライム氏(現ブルキナファソ野球連盟会長)が、隣国のマリに出張した際、現地に滞在していたアメリカ人が野球やソフトボールをしているのに出会ったのがきっかけである。これはおもしろいゲームだとイブライム氏は母国に野球を伝えたのだが、ブルキナファソは世界最貧国のひとつ。国民にはまだまだスポーツを楽しむ余裕もない。野球をすると言っても、道具はおろか、グラウンドもない状況であることは今も変わらない。
 野球がいかなるゲームかを教える人間もおらず、急ごしらえのブルキナファソ野球連盟が、頼ったのが日本のJICAだった。途上国への人的援助は先進各国が行なっているが、それらは農業や工業の技術移転や教育が中心で、実はスポーツなどの文化事業の普及活動はあまりなされていないらしい。野球の本場、アメリカにも「ピースコープ」という若者の派遣プロジェクトがあるが、こちらはスポーツの普及活動は行なっていなかった。
 連盟はJICAに野球の指導者の派遣を要請、これに応えて2008年、最初の野球指導者の青年海外協力隊員が赴任した。
 この普及活動の中、野球に出会ったのがラシィナ少年だった。5年前というから10歳の時、野球を始めた彼は、その後、急速に実力をつけていき、初代協力隊員が始めた日本への選手派遣プロジェクトの代表選手に選ばれ、今回高知FDに挑戦することになった。

トライアウトの結果に期待が集まる

 さて、ラシィナの実力ではあるが、試合前のフリーバッティングでの守備を見ている限りでは、レフトに陣取った彼は無難にフライをさばいていた。その動きは、日本人の中学3年としても平均以上だった。
 この日彼の様子を見に来ていたブルキナ野球会のスタッフも現在の彼の実力をこう評する。
 「私は現在高校野球の審判をしています。先日も夏の予選のジャッジをしたんですけど、東京都の中堅校でも十分にレギュラー張れるだけの守備力はありますよ」

 また、この日、ラシィナは初めて試合前シートノックに入った。
「ラシィナ君!ラシィナ君!」ことあるごとに、彼の名が選手の口を突いて出てくる。彼がチームの先輩にいかに愛されているかがわかる。
 セカンドの3番手に入ったラシィナは、このシートノックを無難にこなした。野球歴を考えると、目立ったミスもなくシートノックを終えるのは上出来と言っていいだろう。

 高知FDの定岡監督も、彼のポテンシャルの高さを認める。
 「最初思ってたよりはいいですよ。アフリカから選手が来るって聞いて、正直、草野球程度の子がくると思っていましたから。実際見てみれば、結構やるじゃないってね。それで、こっち来てからもぐんぐんうまくなっている」
 しかし、15歳の少年の選手契約については、言葉を濁した。
「でも、1カ月でしょ。これで判断しろって言われてもねえ」

 今回のトライアウトの合否結果は7月末になされる。高知球団がどのような判定をするのかは、まだわからないが、どのような結果であれ、今回の挑戦はラシィナ自身にとっても、ブルキナファソという国の野球にとっても大きな足跡となることは間違いない。

 インタビューの最後に、日本のファンの人たちに残した彼の一言、「ガンバリマス」の言葉が、報いられるように今は祈るばかりである。

(インタビュー:阿佐智)

このページのトップへ


【関連記事】
第20回 【四国IL plus 2016北米遠征】「武者」から「カブキ」へ。そして「侍」へ 「全力」のキューバ代表から吸収すべきこと【2016北米遠征レポート】
第19回 【四国IL plus 2016北米遠征】ついに目覚めた「カブキJAPAN」 「KABUKI SPIRITS!」でキューバを破れ!【2016北米遠征レポート】
第18回 【四国IL plus 2016北米遠征】粘りでつかんだ「7勝目」糧に キャンナムリーグ最終戦へ【2016北米遠征レポート】
第17回 【四国IL plus 2016北米遠征】真の「カブキJAPAN」となるために あと半歩・一歩の精度を極めよ【2016北米遠征レポート】
第16回 【四国IL plus 2016北米遠征】3試合連続サヨナラ負けで5連敗 厚い壁を「KABUKISPIRITS!」で突き破れ【2016北米遠征レポート】
第32回 河田 直人選手(高知ファイティングドッグス) 【2014年インタビュー】
第13回 高知ファイティングドッグス 梶田宙 選手 【2013年インタビュー】

インタビュー