第20回 スーシティ・エクスプローラーズ 井野口祐介 選手2013年09月12日

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【目次】
[1]「野球の果て」に身を置く男 / [2]2年目の米独立リーグの生活 / 「3」とにかく上を目指して

とにかく上を目指して


――アピールという点では、アメリカでプレーすることは、日本との距離を考えると不利とも言えます。それを考えると、同じリーグ(アメリカン・アソシエーション)にはブラゼル選手(元埼玉西武・阪神、セントポール・セインツからシーズン途中に千葉ロッテに移籍)もいましたよね。彼がプレーしていたほどのリーグで、好成績を残せば、いいアピールになるのではないですか?

井野口 ブラゼル選手も見たかったんですけど、最初の対戦の前に日本へ行っちゃたんですよ(笑)。でも、そうですね。彼には日本でいい成績を残して欲しいですね。そうなると僕の数字にも信憑性が出てきますから。

――今日(取材した8月14日)は6番という打順ですが、なにか心掛けていることは?

井野口 監督によって違いますけど、こっちの打順は日本の打順とはずいぶん意味合いが違いますね。うちの監督の考えは、6番はランナーを返すというより、2回目の2番打者なんですよ。打者一巡なんてそうそうないでしょ。だから、6番というのは、なんにでも対応できる打者の役割ですね。だから自分のあとを打つ7番打者の方が実はパワーがあるんですよ


――守備のほうはどうでしょうか?

井野口 こっちもずいぶん違いますね。打球が全然違う。力強いです。それに『汚い打球』が多いです。

――『汚い打球』とは?

井野口 こっちの打者は日本人だったら、詰まって外野には飛ばないようなケースでも腕力でもってくるんですよ。体勢が崩れても、外野までもってきた打球というのは、ホントに微妙な差なんですけど違うんですよ。
 こっちも守ってて(落下地点を)、バッターの体勢で判断するじゃないですか。でも、思ったより伸びてくる打球があるんです。そのあたりの感覚は日本で染みついちゃってるから、とくに去年は本当に苦労しましたね。

 あと、ランナーも、走ってこないだろうと思ってても、次の塁を狙って走ってきたりして、面食らいましたね。『ここで走らないだろう』って(笑)。逆に進むケースでも先の塁を狙わなかったりね。そういう時はあわてて打球を捕りにいって、はじいてしまったりっていうのがありました。

――球場の雰囲気はどうですか。日本とは違いますか?

井野口 こちらの方が好きですね。うちはお客さんあまり入らないですけど。ここ(スーシティ)でもイベント(花火など)があるときは、スタンドは8割方埋まります、でも普段はガラガラです。ビジターではお客さん入るところがあるんでそういうところではやっぱり気持ちよくプレーできますね。

――そうやって、アメリカの独立リーグを体感して、日本の独立リーグも集客に関してなにかすべきではないかと感じませんでしたか?

井野口 そうですね。日本の独立リーグも枠にとらわれず、もっといっぱいすることがあると思います。こっちはとにかく、数打ちゃ当たるくらいに様々なイベントを企画してお客さんを呼ぼうとするんですよ。

――最後に今後の抱負をお話しください。

井野口 とにかくNPBかMLB(傘下のチーム)に入るまでは絶対現役を続けます。もちろん50、60(歳)になってまで野球できるわけではないんで、『その後』のことも考えているんですけど、今はとにかく上(位リーグ)目指して頑張ります!

 インタビュー後、彼の言う「その後」について尋ねた。彼は笑いながらこう言った。
「野球とは全然関係ないんですけど、世界一周したいですね。これだけは絶対したい」
井野口の言う「その後」はいつになるのか、それは本人ですらわからないだろう。今彼が踏みしめているアメリカの大地は、自身がいう「世界一周」の始まりなのかもしれない。

(インタビュー:阿佐 智)

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