第24回 又吉克樹投手(香川オリーブガイナーズ) 【前編】2013年12月03日

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「サイドスローのスペシャリスト」へ改善を続ける

自らインステップからの修正法を解説する又吉投手

――先ほど「インステップの修正」という話も出ましたが、技術的にもこの一年間は様々な改善を続けていました。

又吉  最初に手をつけたのはプレートの使い方ですね。これまでは三塁側を踏んでいたものを全て一塁側にしました。次には左手の使い方。大学時代は位置も決めず巻き付いたまま投げていたものを開いてから抱え込む形に変えました。そうすることで自分の体にも壁ができるようになりましたし、パワーを中にたたんで投げる瞬間に弾く感覚も作れるようになりました。大学時代もそれを周りから言われていたんですが、なかなかそこに意識を置くことができなかった。これも一度カラにできたことの効果だと思います。
 その次にインステップの修正です。脚を上げてからリリースまでの時間を長くとろうとした時にインステップだと限界があった。膝が開いてボールが高めに抜けるんです。
 そこでステップを真っ直ぐの状態にすればもっと左脚にも体重が乗ると思ったので、シーズン途中で修正を加えました。直してみるとやはり股関節から左腿の中心に体重を乗せることができる。それがはまり始めたのが6月に入ってからですね。

 逆に調子が悪いとインステップになって左脚が突っ張るんです。徳島インディゴソックスとのチャンピオンシップ第3戦(3番手登板2回2安打1失点)は、正にそんな感じでした。そこを意識せずにできるようになれば、もっと安定したボールが投げられると思います。

――「球種を追求するよりフォームの安定が先」はシーズン中も度々言っていました。

又吉  フォームが安定して前でボールが弾けるようになったからこそ、スライダーも2種類投げられるようになったし、速いチェンジアップも投げられるようになった。左手の使い方、左脚の使い方、前で弾けるようになって、球種が増えたわけです。
 でも、よくよく考えれば不思議な話ではないんですよね。末端から直して最後は内部、指先に変化を加えていく。だた、大学ではそんなことにも気付かなかったんです。指先だけになってしまったり。末端からいって、最後に大切なのは体幹や股関節だということに気が付いた。これを続けていけばと思います。
 普通のことをできるようになる。「左手をこう使う」「インステップしない」「前で離す」これは全て当たり前のことなんですけど、それをいい段階で考えられたことが今年一年の成長になったんだと考えていますね。ですから、調子がよくないのもわかるんです。意識の置き方が判るんで。
 家を建てるのでもそうじゃないですか?以前の僕は穴も掘ってないのに大きな鉄柱をいきなり建てようとしていたんです。本来なら地盤を固めて、穴を掘ってから真ん中に芯のある鉄柱を建てるものですから。ですから、こうやって話すことも重要なんです。僕はよく「おしゃべり」と言われるんですが、色々な方と話す中で自分の考え方を「リフレイン」(音楽用語で『反復』)することができるんです。

――「会話も改善には大事」ということですね?

又吉  そうです。相手にわかるようにしゃべるためには、自分の中で噛み砕かないといけませんから。こういった手順を踏んでいたはずなのに「今振り返ってみるとどうなのか?」と考えると、1つのことしか考えていなかったりすることもあるので、どこから詰めていくかを考えていく上では会話も大事です。

――そんな考えの上で、11月に四国アイランドリーグplus主催で行われた「Winter League」にも登板したわけですね(11月9日登板・2回1奪三振無失点)?

又吉  はい。ドラフト後に色々と取材を受け、噛み砕いてしゃべる中で「あれ?これを今やっていたっけ?」「こういうこともあったなあ」と感じた時期にちょうど「Winter League」があったので、「行かせてください」とお願いして投げさせてもらいました。その時はよかったですが、今はまた溢れてきているので、水抜きはしないといけませんね。

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プロフィール

又吉克樹(またよし・かつき)
又吉克樹(またよし・かつき)
  • 1990年11月4日・23歳
  • 沖縄県浦添市生まれ
  • 180センチ74キロ
  • 右投左打
  • 血液型A型
  • 浦添小学校1年の時、仲間ジャイアンツ(軟式)で野球をはじめ、浦添中、西原高3年春までは内野手。3年夏には投手陣に故障が相次ぎ、バッティングピッチャーだった又吉が繰り上がる形で背番号「10」を背負い2試合中継ぎ登板。ちなみに当時の最速は117キロ。エース・主将は浦添中学時代からの同級生・島井寛仁(興南高から2年春に編入。ビック開発ベースボールクラブ→熊本ゴールデンラークス→東北楽天<2012年ドラフト5位>)だった。
  • 上原健監督(現:読谷監督)ほか周囲の反対を押し切り進んだ環太平洋大ではサイドスローに磨きをかけ、1年秋には早くも最速138キロ、4年秋には最速144キロへ。2年秋には明治神宮大会3連盟代表決定戦で近大工学部左腕・中本勇作(現:伯和ビクトリーズ)に投げ勝ち、環太平洋大を初の全国大会出場に導いた。その一方で4年秋には中国地区大学リーグ1部最下位・2部降格という苦い経験もしている。
  • そして今年はドラフト3位で香川オリーブガイナーズに入団すると、前期だけで12試合登板・7勝1敗・投球回80回3分の2で68奪三振・防御率1.34で月間グラゼニ賞(5月)・前期MVPを獲得。最終的には9月月間MVP・最多勝利投手・年間ベストナイン(投手部門)・年間グラゼニ賞も受賞し、中日ドラゴンズ2位指名を受けた。陸上・バスケットをしていた父親の遺伝子を受け継いだ50メートル走6秒2・遠投115メートルの高い身体能力も魅力の最速147キロ・右サイドハンド。
  • 上記データは掲載時のものとなります。
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