第25回 又吉克樹投手(香川オリーブガイナーズ) 【後編】2013年12月10日

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成長過程にある球児たちへ、又吉投手からのメッセージ

落ち着いた表情を見せる香川オリーブガイナーズ・又吉克樹投手(中日2位指名)

――最後に高校時代の又吉投手のように、今は成長過程にある高校球児へ向けても、メッセージをお願いします。

又吉  目先を焦らないことです。身長は男性であれば25歳まで伸びると言われていますし、技術と筋力と自分の体力を合致させる時期が高校生になったときに、「高卒プロ注目」になるものですから。
 みんながみんなその時期に合致できるわけではないし、自分が一番体力や筋力がコントロールできる時期に引き出しさえ持っておけば、技術は向上していきます。常にうまくなりたいと考え、うまくなりたい気持ちに対して急ぎはしますが、決して焦燥感は持たない。「焦らず急がず」でなく、「焦らず急ぐ」が自分の中にはありますね。自分ができる体力や筋力に達したタイミングでけがをしないこと、技術を発揮する引き出しを持っていることだと思います。

――それがよく言う「準備」という言葉に集約される。

又吉  「準備」と言っても何を準備するか。ですよね?そこを自分の中で噛み砕いた時にそこへ行き着いたので。技術、体力、「けがをしない」を含めて「準備」なんでしょうけど。
 例えば、筋力は付けていますか?体力は付けていますか?技術を発揮する引き出しはありますか?身長が伸びたとき、それを使いこなせますか?

――そこには「知力」も加わってきますね?

又吉  「知力」。その中でも「探究心」が大事じゃないかと。
「どうしたら上手くなれるだろう?」「自分に合うのは何なんだろう?」「本当にこれが自分に合っているのか?」ということだと思います。
 そういえば、この前環太平洋大で話をさせて頂いたときに「どうやったら上手くなれるんですか?」と聞かれたんですが、「ウエイト1つでも『それが本当に自分に合っているのか』わからないと、ただやっているだけ」と答えました。
 短距離の速い選手が筋持久力のウエイトを中心にやっても効果がないし、それならば瞬時にパワーが出せるウエイトをやった方が絶対にいい。
 ただ、そんな風に自問自答しながら、でも頭でっかちにならず、まずやってみて、合わなかったら変えればいい。そこでやれれば「俺はこんなこともできる」となりますし。自分に合うことをするために、なんでもかんでも疑うのではなく、まずやってみて「合う、合わない」のジャッジをして、また次を考える。技術のある選手ほど、否定をしがちな傾向もありますが、そこで受け入れてみれば引き出しも広がる。体の小さい、大きい以前に頭の柔らかも野球選手としては大事なことだと思います。

<エピローグ>

 この原稿作成にあたり、一年前のインタビューと写真を見返してみた。ブルペンでのピッチング写真は膝が割れ、リリースも後ろ。コメントにも「全部やりたい」という記述が目立つ。ただ、変わらないのは「もっと上手くなりたい。うまくなれるはず」という意気込み。これがあったからこそ又吉克樹は1年間でこの地位を獲得できたのだろう。
 そして大学時代にモデルとしていた選手は……。いや、今となってはもう記す必要はない。その選手を超えたならば、右のサイドスローは「又吉 克樹」という称号に塗り替えられるはず。彼には香川オリーブガイナーズで、四国アイランドリーグplusで得たことを土台に、中日ドラゴンズでも、さらなる頂に向かって強く、確実に歩んでほしい。それが今はまだ「平凡」という二文字で片付けられてしまう球児たちへの希望となるはずだ。

(インタビュー・寺下 友徳

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プロフィール

又吉克樹(またよし・かつき)
又吉克樹(またよし・かつき)
  • 1990年11月4日・23歳
  • 沖縄県浦添市生まれ
  • 180センチ74キロ
  • 右投左打
  • 血液型A型
  • 浦添小学校1年の時、仲間ジャイアンツ(軟式)で野球をはじめ、浦添中、西原高3年春までは内野手。3年夏には投手陣に故障が相次ぎ、バッティングピッチャーだった又吉が繰り上がる形で背番号「10」を背負い2試合中継ぎ登板。ちなみに当時の最速は117キロ。エース・主将は浦添中学時代からの同級生・島井寛仁(興南高から2年春に編入。ビック開発ベースボールクラブ→熊本ゴールデンラークス→東北楽天<2012年ドラフト5位>)だった。
  • 上原健監督(現:読谷監督)ほか周囲の反対を押し切り進んだ環太平洋大ではサイドスローに磨きをかけ、1年秋には早くも最速138キロ、4年秋には最速144キロへ。2年秋には明治神宮大会3連盟代表決定戦で近大工学部左腕・中本勇作(現:伯和ビクトリーズ)に投げ勝ち、環太平洋大を初の全国大会出場に導いた。その一方で4年秋には中国地区大学リーグ1部最下位・2部降格という苦い経験もしている。
  • そして今年はドラフト3位で香川オリーブガイナーズに入団すると、前期だけで12試合登板・7勝1敗・投球回80回3分の2で68奪三振・防御率1.34で月間グラゼニ賞(5月)・前期MVPを獲得。最終的には9月月間MVP・最多勝利投手・年間ベストナイン(投手部門)・年間グラゼニ賞も受賞し、中日ドラゴンズ2位指名を受けた。陸上・バスケットをしていた父親の遺伝子を受け継いだ50メートル走6秒2・遠投115メートルの高い身体能力も魅力の最速147キロ・右サイドハンド。
  • 上記データは掲載時のものとなります。
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