第6回 ノース レイア 小久保志乃選手2013年09月19日

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【目次】
[1]男子に混ざって野球に明け暮れた日々
[2]「初心者集団」を「戦える集団」へ育て上げる
[3]プロ野球選手は天職!

「初心者集団」を「戦える集団」へ育て上げる

――その知識を手にいざ高校へ。花咲徳栄高校へは、野球をやろう!と進学されたのでしょうか

坪内 正直な話、シニアリーグが終わった時点で、野球は辞めようかなと思っていたんです。というのも、やる場所がない、と思って。女子野球があるって全く知らなかったんですね。だから、普通の都立の学校に行って、バレーとかバスケとかやろうかな、って思っていました。
 そうしたら、シニアの同級生が何人か、花咲徳栄高校の男子野球部に見学に行くって話になったんですね。で、そこで噂程度で『女子野球部っていうのがあるらしいよ』って監督から話を頂いて、そんなものがあるのか~って。取り敢えず行ってみようか、ってなりました。女子野球部には全然話が通ってないから、練習を見られるかどうかもわからなかったんですけどね。

――すごい行動力ですね。

小久保 やっぱり野球が好きなんですね。同級生と一緒に男子野球部を見ていたんですけど、そこのコーチの方が女子野球部のコーチの方を紹介してくれたんです。それで、練習してけって。急に行ったのに受け入れてくれたんです。練習に参加させていただいて。今まで男の子の中でプレーしていて、野球は楽しかったんですけど、仲間っていう楽しさはなかったので…仲間というものを感じることが出来て、野球ってもっと楽しいものなんだな、っていう風に気づいたんです。それで帰ってすぐにお父さんとお母さんに、「やる!」って。「あそこでやる!」って。

――そして花咲徳栄高校に入学し、女子野球部へ。その頃から強いチームだったんですか?

小久保 今は連覇していたり、毎年優勝を争うような強豪と呼ばれるチームになっているのですが、私の入った頃は違ったんです。1学年7,8人しかいない。その中で経験者も1人いるかいないか、という全くの初心者の集まりでした。ゴロ1つ、フライ1つ取れないという状況だったんです。
 だから私がピッチャーを始めた、というのもあるんです。硬式球を投げられるっていうだけで始めました。それなりには出来たんですけど、守ってくれる人たちがやっぱり初心者なわけです。当時を知る友達とかには、その頃の志乃は怖かったね、って言われます。マウンドで常に怒っているような…
 でもそれに対して物足りなさよりも、女の子で野球ができているっていう嬉しさのほうが上でしたね。男の子たちの中で試合に出られないということを経験して。試合には勝てなかったですけど、出られる事が嬉しかったんです。勝てなくても、私はチームの一員だっていう意識が嬉しかったです。

――試合に出られる喜びは代えがたいですものね。

小久保 実は、高校で女子野球が出来る、ということを知った時、その頃から強かった埼玉栄とかも考えたんです。けど、それじゃあ試合に出られないじゃないですか!やっぱり試合がやりたいんですよ。それも本気で。

――そんな本気の小久保選手が引っ張る花咲徳栄。初心者集団がどれくらい強くなるものなんですか?

小久保 私の下の世代の子が、私1人奮闘しているところを見て、花咲徳栄でやりたいって入ってきてくれたんです。それがシニア上がりの上手な子で。その子も一生懸命にやってくれた。そのことで、ひとり、またひとり、と上手い子が入ってくれる。そうすると、今までいた部員にも連鎖するんですよね。最終的には戦えるチームになったと思います。1年生の時には0対20で負けたチームにも、3年生の時には1点差を争えていましたから。
 私、3年間で公式戦、1回も勝ったこと無いんですよ。でも、戦えるチームになれた、というのは本当に嬉しかったです。

――今の、強豪といわれる花咲徳栄の流れを作ったパイオニアですね。投げ出したくなることってなかったですか?

小久保 野球は好きだし、自分のことをするしかないって信じてやりました。

――その後クラブチームを結成されましたけど、その後大学に進学。大学で野球をやろうとは思わなかったんですか?

小久保 大学では軟式野球部に入ろうかな、とも思ったんですけど、やっぱり野球は本気でやりたかったんですね。ピリッとやりたかったんです。だから、ちょっと違うな、って。だからクラブチーム1本でした。平日はアルバイトをしてお金をためて、練習や試合の日は思いっきりプレーをして。

――そのクラブチームに所属している4年間はベストナイン。なんかもう、レジェンドな感じですよね。

小久保 たまたま歴史と一緒にいたって感じですよ。ちょうど女子野球界が変わる世代にいた気はします。

――トライアウトはどこからお話があったんですか?

小久保 クラブチームの監督からまた「あるらしいよ」って言われました。本当にタイミングがいいことに大学を卒業する年にトライアウトがあったんです。導かれているような感じはしました。運命を感じましたね。実際に受けてみたら、思ったより人もいましたね。まあ、ほとんど顔見知りなんですけどね。女子野球って不思議なんですよ。みんなライバルなんですけど応援するんですよね。そういう雰囲気が大好きなんです。だからトライアウトなんですけど、あ、いい練習したな、って思いました。

――そして合格。でもその時、チームはまだ決まっていないんですよね。そのあとのドラフトはいかがでした?

小久保 ドキドキしていましたよ。トライアウトよりドラフトの時のほうが、人生で一番緊張しました(笑)。


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プロフィール

小久保 志乃
小久保 志乃(こくぼ・しの)
  • ノース レイア
  • ポジション:外野手・投手
  • 生年月日:1988年1月16日
  • 出身地:東京都
  • 経歴:花咲徳栄高校(女子硬式) - ハマンジ(女子硬式) - スマイリーズ('10) - ドリームス('11) - ハニーズ('12)
  • 身長:166cm
  • タイプ:右投右打
  • 上記データは掲載時のものとなります。
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