第1回 プロで活躍する社会人野球戦士たち(前編)2013年06月26日

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プロで活躍する社会人野球戦士たち(前編)

【目次】
[1]社会人野球を盛り上げた東京ガスコンビ
[2]2010年大ブレークの牧田和久
[3]社会人になって変身した十亀剣

社会人野球を盛り上げた東京ガスコンビ

南本(ジェイプロジェクト)

榎田 大樹(東京ガス時代の投球写真)

 まもなく第84回都市対抗野球大会が開幕する。社会人野球戦士たちにとっては都市対抗はまさに檜舞台だ。この檜舞台を経て、プロ野球入りし、一流選手として活躍している選手たちの社会人時代を振り返って行きたい。

 近年の社会人野球で最も注目度の高い2人組は榎田 大樹(現・阪神タイガース)と美馬 学(現・東北楽天イーグルス)の東京ガスコンビだろう。

 福岡大を卒業した榎田は入社1年目からエースへ。2009年の都市対抗初戦の日本通運戦の投球は圧巻だった。先発のマウンドに登った榎田は、左腕から140キロ台の直球、スライダー、カーブ、スクリューを織り交ぜた投球で、8回まで2失点に抑える好投をみせた。このまま完投かと思った9回。美馬学がマウンドに登った。東都大学リーグの中央大を卒業した小柄な体から投げ込む140キロ後半の直球と鋭いスライダーで日本通運打線を抑えこんだ。

 NPBのスカウト陣は、この2人の活躍をみて、2010年度のドラフト上位候補にリストアップした。翌夏の都市対抗東京予選では、彼らを見ようと10人以上のNPBのスカウトが集結した。

 この予選で、鷺宮製作所戦に先発した榎田のピッチングは圧巻だった。2年目を迎えた榎田はアマチュア投手としては群を抜いた完成度を誇る投手になっていた。ストレートのスピード、制球力、変化球のキレ、投球の組み立て、クイック、牽制技術などすべてにおいて優秀な投手だった。ランナーが出てからもバタバタしない投球で、8回まで無失点に抑える投球。だが、打線は援護出来ず0対0の同点に。

 9回表、榎田はピンチを迎えるが、この場面で、美馬が登板。チームの不動のクローザーなっていた美馬はマウンド上での貫禄が出てきた。絶対に打たせないという執念がひしひしと伝わってくる。体を半身にさせる彼独特のセットポジションから相手打者に向かって堂々と速球を投げ込むハートの強さはプロで活躍する大事な武器だった。

 美馬は完璧なピッチングをみせ、チームはその裏にサヨナラ勝利し、都市対抗出場を決めた。都市対抗本戦では、開幕戦で東京ガスは、NTT西日本戦と対戦。榎田は6回3失点。榎田にしては3失点は多いが、要所でコーナーへの変化球が決まり、NTT西日本打線を3失点に抑え、美馬が140キロ後半の速球を軸にグイグイ締めて7対3で勝利。そして、次の相手は、2009年の覇者・Honda。榎田は、NTT西日本以上に快調な投球。右打者には外角へ逃げるシュート、左打者には外角へ抜けるスライダーで8回まで無失点に抑える好投をみせた。しかし、9回にHondaに集中打を浴び、2失点。ここで美馬がしっかりと火消しを果たし、準々決勝進出を果たした。チームは、準々決勝で敗退したが、2人のハイレベルな投球に惹きこまれた社会人ファンも少なくないだろう。間違いなく東京地区の社会人野球を盛り上げた。

 2010年のドラフトで榎田は阪神タイガースにドラフト1位で入団。1年目は中継ぎでスタート。1年目は62試合に登板し、防御率2.27を上げる。3年目の今年は先発へ。現在(6/25現在)は2勝5敗だが、リーグ2位に走り、首位奪回を目指すチームにとっては欠かせない存在であることは間違いない。

 美馬は、同年に東北楽天イーグルスに2位指名を受けた。入団1年目には、アマチュア時代と同じく中継ぎとしてスタンバイ。しかし、故障によりシーズン途中で戦線離脱するが、2年目からは投球間隔を空けるために先発に転向。美馬は先発ローテションに定着し、8勝を上げた。3年目の今年も先発入りを果たしている。長くローテーション入り出来るかが一流選手の境目になるだけにこの年に踏ん張られるかが鍵となる。

 来年の交流戦では、榎田と美馬の先発対決が見られることを待ち望んでいる。

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