2014年11月10日 京セラドーム大阪(大阪ドーム)

トヨタ自動車vsパナソニック

第40回社会人野球日本選手権 準決勝
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5番・瀧野光太朗(トヨタ自動車)

「思った以上に藤田、川尻が頑張って有利に進んだんですけど、やっぱりミスですよね」と田中監督が嘆いた8回は上杉が先頭のパナソニック6番・田中 宗一郎にフォアボールを与えるところから始まった。さらに7番・三上恭平、8番・柳田 一喜に三遊間を破るレフト前ヒットを続けて打たれ1点を失う。どちらも強い当たりではなく、ランナーがいなければショートが追い付けた可能性もあったという意味でも無駄なフォアボールだった。

 さらにこの回は一死一、二塁からゲッツーコースのショートゴロを打たせるがショート・樺澤から送球を受けたセカンド・河合が「単純にあせりました。先輩に申し訳ない」とまさかの落球。一死満塁とこの日最大のチャンスを作ったパナソニックは還れば同点となるセカンドランナーに代走・井上貴春を起用すると、2番・大江伸宏がライト前に2点タイムリーを放つ。

「全部還してもいいけどランナーはためるな。経験あるだろうから後は気持ちの問題だぞ」とマウンド上で田中監督に言われた上杉は3番・森志朗をサードゴロ、4番・梶原康司は二死二、三塁のフルカウントから渾身のストレートで空振り三振に仕留め、大ピンチに勝ち越し点だけは与えず。同点で踏ん張ると9回表は無失点に抑えた。

 裏の攻撃は8回に守備でミスをした河合から。この日の河合は3打席目までは全てバント、ずっと中軸を打ってきた河合にとって1試合3犠打は人生初のことだった。
つなぎ役に徹した試合で初めてランナー無しで回ってきた最終回の先頭打者という非常に重要な打席、「エラーした分何とかしてやろうという気持ちだけでした」とセンター前ヒットで出塁した。

 ベンチ前でブルペン投球を終えた佐竹功年が10回のマウンドに備えてキャッチボールを始める中、樺澤がライト前ヒットで無死一、三塁とチャンスを広げる。

 すると、「ああいう場面では初球から行ったほうがいい。犠牲フライを打とうと思っていたのでボールの下を意識していました」と瀧野がセンターオーバーのタイムリーヒットを放ちサヨナラ勝ち。佐竹をマウンドに上げることなく決勝進出を決めた。
これでわずか中1日とは言え、今大会21回2/3を無失点と凄まじい安定感を誇るエースを最小の消耗で先発マウンドに送れる。また日程の関係上、トヨタ自動車は準々決勝からの3連戦だが決勝の相手・セガサミーは4連戦。2010年以来となる優勝へ王手をかけた。

(文=小中 翔太)

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