2016年07月22日 東京ドーム

Honda鈴鹿vs王子

第87回都市対抗野球大会 2回戦
印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

平井が159球の熱投!Honda鈴鹿が王子に勝利!

 Honda鈴鹿・平井克典(愛知産業大卒25歳)と王子近藤 均(関西大卒26歳)の息もつかせぬ投手戦になった。平井は5回1死までノーヒットに抑える安定感で際立ち、キレのいいストレートとスライダー、そして時折投げるシンカーは王子各打者を翻弄した。

 試合終了後、ヒーローインタビューに立った平井は近藤との投げ合いを「鉄腕対決」と語っていたが、きょうの平井は紛れもなく「鉄腕」だった。

 9回に四球、レフト前ヒットが続き降板したが、それまでに投じた球数は159球。3回までに53球投げていたので完投は無理だと思っていた。それが9回にもマウンドに立っていた。スタミナは半端でない。

 最初にシンカーがあると紹介したが、これは本当に少ない。そのほとんどはストレートとスライダーで、その2つの球種のキレが非常にいい。ストレートの最速は143キロ。この普通の球速に打者が振り遅れるのはボールの出所が見えにくいからだ。

 言い遅れたが平井の投球フォームはサイドスロー。このタイプは体が横振りになり肩の開きが早くなるのが普通だが、平井はサイドスローなのに体が打者に向かって縦に振れる。このためバックスイングで右腕が背中のほうに入らずセンター方向に入り、打者からボールの握りが見えず、体の早い開きもない。

 この平井の弱点はファールを多く打たれることだろう。投手にとって悪いことではないが、球数が増えるのがつらい。この日は159球中、ファールが35個もあった。王子の近藤は6回82球投げてファールは12個。球数に差があると言ってもこの差は大きい。もしファールがあと15個少なければ144球で済んだのである。

 2ストライクに追い込んだ後の勝負球の選択、ファールの多さはここに尽きる。ストレートとスライダーは確かにキレがいいが、バットに当てることはできる。横の変化にもう一つ縦の変化があればこれほど球数の多さに苦労しないはずである。

 シンカーを多投しないのは精度が高くないからだろう。サイドスローにもかかわらず投げるときのヒジの高さ(ヒジの立ち方)を考えると、フォークボールも投げられると思う。球種を増やすことにもっと熱心になっていい。

(文=小関 順二

応援メッセージを投稿する