欧州野球紀行

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第7回 日本人がけん引するオーストリアリーグ2013年12月13日

【目次】
[1]2013年、野球連盟設立30周年を迎えたオーストリア
[2]オーストリア代表チーム

 WBCでは、オランダやイタリア、スペインなどのようにヨーロッパの強豪チームがすでに本戦に参加していますが、実際ヨーロッパではそれら強豪と言われる国以外でも、ほとんど全ての国に野球連盟があるということを、このコラムの中でご紹介していきたいと考えています。そこで今回のコラムでは、皆さんにはピンと来ないかもしれませんが、オーストリアの野球に着目していきたいと思います。私自身はオーストリアに関しては、公用語がドイツ語ということ以外ほぼ無知なのですが、オーストリアの強豪Wien Wonderersで監督兼選手として活躍し、更にはオーストリア代表チームでもスタッフとして活躍されている坂梨広幸さんに色々とお話を伺うことができ、今回のコラムにご協力頂けることになりました。オーストリアでも活躍されている日本人がいるんだ!?ということを日本の皆さんにも、このコラムを通じて知って頂ければ幸いです。

2013年、野球連盟設立30周年を迎えたオーストリア

 日本人にとっては馴染みの薄いであろうオーストリア。サッカーが盛んな国だったかな?いや音楽以外はないだろう?とすら考えてしまう国でもありますが、実はオーストリアでも立派な野球のリーグ戦が行われていて、実は2013年でオーストリア野球連盟は30周年という節目を迎えました。現在オーストリア野球連盟には約30球団が加盟していて、その中でリーグのトップに当たるABL(Austrian Baseball League)には6球団、その下にBBL(Baseball Bundesliga)があり、地域によって3地区に分けられている3部リーグRL(Regional Liga)、そして4部リーグLL(Landes Liga)の4部リーグで構成されています。

 2013年シーズンは、昨年まで8チームが所属していたABLを6チームに減らし、リーグ戦の戦力を均衡させる目的でリーグ構成を大幅に変更しました。ホームゲーム、アウェイゲームを2試合ずつ行い、リーグ戦計20試合の成績をもとにトップの4チームが7回戦制のプレーオフに臨み、下位の2チームはBBL上位2チームとの総当たり戦(ホーム&アウェイのダブルヘッダー)を行い、そこでの上位2チームが次の年にABLに在籍することになります。

 前述したとおり、年間にレギュラーシーズンで20試合しかないという、試合数の少なさがやはり懸念材料ですので、試合数を増やすためにオーストリア野球連盟はFederation Cupというカップ戦を設けています。

 このFederation Cupについて説明しますと、各チーム年間を通してチームが対戦相手を探し、日程を決め、それを連盟に伝えて、対戦相手のレベルに応じてポイントを加算していくというもので、もちろん他国のクラブチームと試合を組んでポイントを加算することも可能なシステムです。しかし、やはり野球人口の少なさ、そして、グランドのレンタルなど色々な面でまだ問題が多く浸透するまでには至っていないというのが現状です。

 オーストリアリーグでは、オーストリア人が5選手フィールドでプレーをしなければならないというルールがあり、外国人選手は2選手同時にプレーでき、中にはオーストリアに2年以上生活している外国人は連盟の審査ののち、特別枠としてオーストリア人としてプレーすることが可能になります。よって最大でチームは4人の外国人選手をフィールドに送り出すことが可能になります。ここ数年では、各チームが経験実績のある外国人を雇ってリーグ戦を行っているので、オーストリア人選手たちにとってはレベルの高いピッチャーとの対戦をする機会が増え、打力に関してはここのレベルというのは少しずつ上がってきているそうです。

 とはいえ、まだオーストリアではアマチュアスポーツである野球。オーストリア人選手はもちろん仕事や学校を傍らにプレーしています。練習時間もおそらく各チームだいたい週2、3回程度で、必ずしも全員が毎回練習に来るとは限らない状況です。環境面においては、ほぼ各チームがホームグラウンドを所有していて、中にはほかの欧州諸国のスタジアムに匹敵するような球場を所有しているチームもあれば、グランドがデコボコしていたり、フェンスがなかったりと、まだまだ完全に整備が行われていないところもあるのが現状です。

 

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