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第5回 球場のサイズや形は、記録にどんな影響を与えるか?2014年08月07日
球場のサイズや形は、記録にどんな影響を与えるか?

【目次】
[1] 球場のホームランの出やすさはどうやったら計れる?
[2] パークファクターの計算方法
[3] 得点やヒットのパークファクターも計算できる
野球は、競技する場の広さや形状に寛容
野球には、競技する場の広さについて、他のスポーツと比べるとかなり「いい加減」な部分がある。他の多くのスポーツでは競技場の寸法は細かに決められている。例えばテニスコートなら、縦は23.77m(78ft)と決まっており、24mのコートで公式な試合が行われることはない。
サイズが決まっていないばかりか、形についても細かな規則はない。両翼と中堅は弧を描くようにつないでもいいし、ほぼ直線の形状でも構わない。さらには左右非対称でも許される。野球というスポーツは、競技する場の広さや形状について寛容なスポーツだといえる。
さて、そうなるとこんな疑問が湧いてこないだろうか。
他の球場よりも、ホームランが出やすかったり出にくかったりする球場があるのではないか。選手の能力を計るときには、その部分を均等にする調整をしなければ不公平ではないか——。
球場ごとにホームランの出やすさに違いがある。これは多くの野球ファンにとって常識になっていると思う。だが、実際にどれくらいの差があるかを、客観的に調べるよい方法はないのだろうか。
球場ごとのホームランの出やすさを数字でとらえるには
それぞれの「チーム全体のホームラン数」を比べるという方法はどうか。ホームランの多いチームが本拠地としている球場は打球がスタンドに入りやすいはずだ、という予想は悪くない気がする。だが、ホームランが多かったとしても、それは単に強打者がそろっていたから、という可能性もある。純粋な球場自体のホームランの出やすさを比べるのには問題がある。
球場ごとのホームランの出やすさから「チームの打者の能力」の影響を除くにはどうすればよいのだろう。
ホームランの数だけでなく、打たれたホームランの数も合わせて比べてみるというのはどうか。しかし、この計算で上位に来るチームの本拠地球場がホームランの出やすい球場だと見なすのも苦しい。そのチームが、強打者とホームランを打たれがちな投手が多くいるチームだった可能性があるからだ。
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- DELTA
- 合同会社DELTA
- 2011年設立。スポーツデータ分析を手がける。代表社員の岡田友輔と、協力関係を結ぶセイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。
書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1,2,3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクスマガジン1,2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta's Weekly Report』などの媒体を通じ野球界への提言を行っている。 - 最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。