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第7回 田中の戦線離脱とヤンキース補強戦略2014年08月09日

 また、MLBは日本のプロ野球と違って約6カ月間で162試合を消化する。日本のプロ野球の144試合より18試合も多い。それを5人の先発投手で回すので、先発投手はシーズンを通してローテーションを守るとおよそ32登板となる。日本の24登板に比べると8試合も多い。

 日本にいた時と比べて短い登板間隔で登板回数も増え、そして、大陸を行ったり来たりの長距離移動をしなくてはならないし、時差との戦いもある。

 日本のプロ野球を経由してきた先発投手は、まずこの登板間隔とハードなスケジュールに慣れるのが懸念材料の一つだと、田中投手がくる以前からずっと言われてきている。MLBならではのハードな環境であろう。今シーズンからメジャーの仲間入りした田中投手も、この中4日の登板には苦しんだのかもしれないし、今回の怪我の大きな一因となったに違いない。

 もちろんこのMLBの環境で故障しているのは、日本から来た投手だけではない。今シーズンはまだ2ヶ月弱残っているが、現時点ですでに20人以上の投手がトミー・ジョン手術をおこなっている。

 そこには今年ヤンキースの先発の1人であった、イバン・ノバ投手も含まれていて、 USA Todayが今年の4月にトミー・ジョン手術はもはや流行となっているとの記事を公開していたこともあるほど、MLBの投手で手術を受ける投手が増えているのが現状だ。

 トミー・ジョン手術は2000年を過ぎたあたりから急増し、現在では90%以上の成功率が見込まれ、手術を受けた後は球威があがるケースも増えてきている。そのためチームドクターも以前に比べて、トミー・ジョン手術を簡単にすすめる傾向になってきており、アメリカでは怪我をしたら、手術をすればよいという考え方が広がってきていることも事実だ。

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プロフィール

中薗麻衣
中薗麻衣
  •  ニューヨーク在住6年目。現在、ニューヨークのTVプロダクションに勤務し、MLBをはじめNBA, NFLなどアメリカンスポーツ取材を2010年より行い、日本向けに、コラム執筆、取材リポート、映像編集、番組コーディネート業等、幅広く活動している。

     NHKスポーツニュース番組、「おはよう日本」スポーツコーナーMLBスプリングトレーニング等他多数。週刊ダイヤモンドオンライン「アメリカンスポーツビズの歩き方」コラム執筆、週刊NY生活「MLBコラム」、週刊NY生活TV、テレビ東京「海外いくならこーでね~と!」出演など。

  • twitter:@Maia_K_Nakazono

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