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第9回 【侍ジャパン強化試合】日本vsオランダ「世界水準のクリーンナップと、やや物足りない投手陣」2016年11月12日
11月12日、来年3月に開催される第4回ワールドベースボールクラシックに向けて侍ジャパントップチームとオランダとの強化試合が行われた。結果は9回裏に同点に追いつき、10回裏に9対8とサヨナラ勝ち。日本の立ち位置が垣間見える試合となった。
世界水準のクリーンナップと、やや物足りない投手陣

中田 翔(北海道日本ハムファイターズ)
勝敗を左右した9回のオランダの守りから書く。オランダは9回表に3点入れて8対7とし、その裏の日本の攻撃も2死一塁となり、オランダの勝利は目前に迫っていた。ここから山田 哲人(ヤクルト)、鈴木 誠也(広島)の平凡な三塁ゴロ、二塁ゴロをオランダの内野手が連続エラー、待望の1点が入って延長戦に突入するという場面だ。
何でこんな簡単なゴロをと、見ていて白けた気分になった。レベルの高い走攻守で応酬し合って、わずかなスキを突いたほうが勝利を収めるというのが私の望む試合である。そこに、何でもいいから応援する日本チームに勝ってほしいという気分が入り込む余地はない。しかし、英語の話せる記者がオランダの選手や監督、コーチに聞いたところ、2人の内野手は、「これで強い日本代表に勝てる」と思った瞬間、体が動かなくなったのだという。この言葉ほど、現在の侍ジャパンの“世界での立ち位置“を示すものはない。
06、09年のWBC連覇、そして現在のWBSC世界野球ランキングではアメリカの5453ポイントをしのぐ5515ポイントで世界トップだ。
※国際オリンピック委員会(IOC)から認定された世界唯一の野球とソフトボールの管轄団体がWBSC(世界野球ソフトボール連盟)。世界野球ランキングとは、WBSCが主催するワールドチャンピオンシップ大会(各年代で構成された12U、15U、18U、21Uなどワールドカップやプレミア12)、さらにWBC(ワールドベースボールクラシック)を含むWBSCが公認する国際大会の結果によって得られる総合ポイントの集計のことで、日本は2014年11月以来1位の座を守っている。
この日本の世界での立ち位置が強豪・オランダへの圧力になったことは特筆に値する。投手の能力の高さや野手の走塁に対する意欲は以前から指摘されていたが、現在の攻撃陣は小技だけでなく長打力でもライバル各国に迫る勢いを見せている。大谷 翔平、中田 翔(ともに日本ハム)、筒香 嘉智(DeNA)は、そういう変わりつつある日本の象徴的存在と言っていい。
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- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ

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