第5回 2015年MLB10大ストーリー【前編】「全米を沸かせたスタープレイヤーたち」2015年12月28日

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【目次】
[1]“投手の時代”は継続
[2]A-ロッドが予想外の復調 / トレードデッドラインに波乱
[3]神童の開花 / 大物新人がデヴュー

神童の開花

 10代の頃から全米的な注目を集めてきた神童ブライス・ハーパー(ナショナルズ)が、メジャー4年目、22歳にして完全開花した(注/シーズン終了後の10月16日に23歳になっている)。5月6日に自己初の1試合3本塁打、同月中旬には週間MVPを2週連続で受賞するなど春から絶好調のスタート。その後もペースは落ちず、最終的には打率.330(リーグ2位)、42本塁打(同1位タイ)、99打点という見事な数字をマークした。

 唯一残念なのは、開幕前にリーグ制覇の大本命と目されたナショナルズが83勝79敗でプレーオフ進出を逃したこと。出塁率(.460)、長打率(.649)、OPS(1.109)、WAR(9.9)はすべてメジャ−1位という成績を見れば、チームの停滞がハーパーの責任だとは考え難い。そんな背景から、今季メジャー最大の期待外れチームの選手が、ナ・リーグMVPに輝くという珍しい事態になった。

 そのプレースタイル、態度はときに生意気にも映ることから、アウェーのスタジアムでは大ブーイングにさらされている。シーズン終盤にはチームメートのジョナサン・パペルボンからもケンカを吹っかけられ、試合中にダグアウトで首を掴まれるシーンが話題にもなった。もっとも、アンチファンが多いのもスター性の証明である。史上稀有な才能を誇る若者が、期待通りに大ブレイクを果たしたことをファンは喜ぶべきだろう。

 ハーパーの行く手には無人の荒野が広がっている。2018年終了後にFA になれば、1年前にジャンカルロ・スタントンがマーリンズから受け取った10年3億2500万ドルの契約を軽く吹き飛ばし、史上最多4億ドル契約を提示されると予想する声すら早くも飛び出しているくらいである。

大物新人がデヴュー

 近年はハーパーとマイク・トラウトが“球界を担うヤングスター”の代名詞とされてきたが、2015年中に新たに2人のスーパールーキーがデヴューした。
プレシーズン時から大きな注目を浴びていたクリス・ブライアント(カブス)は、前評判通りに打率.275、26本塁打(今季の全新人の中で最多)、OPS.858とハイレベルの数字をマーク。1年を通じて“ルーキーの壁”にぶつかることなく、8~10月に12本塁打、OPS.967と数字をアップさせたことは特筆に値する。加えて、13盗塁をマークした脚力、標準以上の三塁の守備力、さらには甘いマスクまで備え、まさに完璧なスーパースター候補だと言って良い。

 2012年のドラフト全体1位でアストロズに入団したカルロス・コレアも、6月8日に満を持してメジャー昇格。99試合で打率.279、14盗塁、22本塁打(メジャー全遊撃手の中で最多)、OPS.857と優れた数字を残し、開幕前からの誇大宣伝が正しかったことを証明した。強肩を生かした守備も上質で、台頭期のアレックス・ロドリゲスと比較する声があがっているのも納得だ。

 23歳のブライアント、21歳のコレアはそれぞれ両リーグの新人王を獲得。他にもフランシスコ・リンドール(インディアンス)、ミゲール・サノー(ツインズ)、マット・ダフィー(ジャイアンツ)をはじめ、目を引く活躍を見せたルーキーは多かった。それでも、リーグを背負って立つポテンシャルを感じさせるのはやはりこの2人しかいない。2015年は、“ブライアント、コレアがデヴューした年”として振り返られる日が遠からず来るかもしれない。

 後編では2015年、躍進を見せたチームを焦点に絞って取り上げていきます。お楽しみに!

(文=杉浦 大介

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