第6回 2015年MLB10大ストーリー【後編】「全米で話題になったチームたち」2015年12月29日

【目次】
[1]カブス大躍進 / ミラクル・メッツがワールドシリーズへ
[2]ロイヤルズが2年越しの世界一に到達 / ピート・ローズ復権ならず / オフに100億ドル契約続出
前編では大活躍を見せたスター選手たちを取り上げてきましたが、後編では、今シーズンのカブスやメッツ、ロイヤルズの戦いを振り返るとともに、オフの契約状況についてもお届けします!
カブス大躍進
「2015年にカブスが世界一になる」
1989年の映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー2」でそう予言されたのは有名な話———。今秋、そんな夢のようなストーリーが現実になるかと思われた。
開幕前はほぼ無印だったカブズが、レギュラーシーズン最後の65試合で46勝19敗と破竹の快進撃。ワイルドカード戦でパイレーツ、地区シリーズはカージナルスと強敵を次々と撃破し、ワールドシリーズにあと一歩まで迫った。
その過程で、ブライアント、アンソニー・リゾー、カイル・シュワーバー、アディソン・ラッセル、ホルヘ・ソレーアといった若手野手たちが続々と台頭。さらにアリエッタがオールスター以降の防御率0.75、8月以降に限ればメジャー史上最高の0.41と快刀乱麻を続けて大エースとなった。一躍、“アメリカズチーム”となったヤングチームの躍進に、米メディアも飛びついたことはいうまでもない。
結局、ナ・リーグ優勝決定シリーズではメッツに4連敗。実に1908年以降はワールドシリーズ制覇から見放されてきた覇権への夢はまた持ち越しになった。例えそうだとしても、ヤング・カブスの快進撃が今季屈指のストーリーになったことに変わりはない。今オフの補強と若手のさらなる成長がうまく絡み合えば、近未来についに悲願が叶う予感も十分に感じさせる。
ミラクル・メッツがワールドシリーズへ

マット・ハービー(ニューヨーク・メッツ)
過去8年連続でプレーオフ逸、6年連続で勝率5割以下と勝ち星からは見放され、近年のメッツは低迷チームの代名詞のようになっていた。そんな負け犬色の濃いチームが2015年についに復活を遂げた。
ジェイコブ・デグロム、マット・ハービー、ノア・シンダーガード、スティーブン・マッツといった若手投手たちが新生メッツの看板として確立。打線は前半戦こそメジャーワースト3位と低迷していたが、トレード期限にセスペデスを加えると、後半戦では復調した。投打のかみ合ったメッツは、大本命ナショナルズを蹴落として見事に地区優勝を成し遂げた。
余勢を買って挑んだプレーオフでもドジャース、カブスを撃破。ワールドシリーズでこそロイヤルズに地力の差を見せつけられたものの、まるで勢いづいた学生チームのようだった勝ち上がりのプロセスは実に見応えがあった。
「優勝を目の前にして、届かなかったのは残念ではある。ただ、落ち込む必要はない。すべてを思い返したとき、自分たちが成し遂げたことを誰もが誇りに思うんじゃないかな。みんな微笑みを浮かべるのを抑えられないはずだよ」
チームリーダーのデビッド・ライトがそう語る通り、近年はヤンキースに支配されてきたニューヨークに“メッツフィーバー”を起こした意味は大きい。若手先発投手はまだ揃って契約下だけに、向こう数年の優勝争いも有望。カブス同様、再建を成功させたメッツが今後に豊潤な時代を築いても驚くべきではない。
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