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- 【小関順二のドラフト指名予想】横浜DeNAベイスターズ編
第3回 【小関順二のドラフト指名予想】横浜DeNAベイスターズ編2015年10月08日
【目次】
[1] 投手力向上が急務だが…
[2] 色眼鏡をはずし、チーム事情に合う選手を
横浜DeNAベイスターズ 今季戦績
143試合 62勝80敗1分 勝率.437 セ・リーグ6位
投手力向上が急務だが…

小笠原 慎之介(東海大相模)
交流戦前まで2位巨人に2ゲーム差をつけて首位を快走していたが、夏に入ると指定席のBクラスに落ち着いた。
もちろん交流戦の3勝14敗がBクラス転落の最大の原因なのだが、選手層の薄さにも目を向けないわけにはいかない。9月13日現在の投手成績、打撃成績を見ると、投手陣は規定投球回に到達している選手が1人もいない。これは12球団中DeNAだけに見られる現象である。
100イニング越えは久保 康友、井納 翔一(2015年インタビュー【前編】 【後編】)、山口 俊がクリアし、先発組の若手、砂田 毅樹、石田 健大、三嶋 一輝も50イニング越えを果たし、来季に楽しみを残した。しかし、全体的な層の薄さは依然として解消されていない。
2010年以降、DeNAはその年最も高く評価されている投手を1位入札し続けた。10年大石 達也(早大)、11年藤岡 貴裕(東洋大・2011年インタビュー)、12年東浜 巨(亜大)、13年松井 裕樹(桐光学園)、14年有原 航平(早大)という具合だ。いずれもその後の抽選で負け、須田 幸太(JFE東日本)、北方 悠誠(唐津商)、白崎 浩之(駒大)、柿田 裕太(日本生命)、山﨑 康晃(亜大)を獲得し、安定した戦力になっているのは山崎だけ。取り逃がした投手も松井と有原以外はパッとしないので喪失感はないが、ドラフト下手のイメージはすっかり定着した。
これまでのやり方を見れば今年は小笠原 慎之介(東海大相模・U-18 ワールドカップ関連記事)が1位入札の有力候補と考えられる。小笠原は高校ナンバーワン左腕に加えDeNAの地元、神奈川県の東海大相模の選手という点を重視した。
パイプがある、監督やオーナーと大学が同じ、地元だから……等々、選手の実力とは直接関係のない部分がときどき注目される。たとえば次のようなことだ。
◇ソフトバンクの九州枠……立岡 宗一郎、今宮 健太(2014年インタビュー)、武田 翔太、東浜 巨、山中 浩史(2011年インタビュー)など
◇日本ハムの北海道・東北枠……大谷 翔平(関連記事)、鍵谷 陽平(2012年インタビュー)など
◇楽天の東北枠……塩見 貴洋、阿部 俊人、横山 貴明など
◇ヤクルトの神宮(東京六大学、東都)枠……中澤 雅人、久古 健太郎、西浦 直亨など
◇巨人の東海大ライン……大田 泰示(2010年インタビュー 【前編】 【後編】)、市川 友也、菅野 智之(2014年インタビュー)など
◇広島の中国枠……岩本 貴裕、中田 廉、野村 祐輔(2010年インタビュー)、上本 崇司、九里 亜蓮、薮田 和樹など
◇中日の東海枠……大島 洋平(2013年インタビュー)、田島 慎二、福谷 浩司、濱田 達郎、祖父江 大輔など
そしてDeNAには横浜高校枠、あるいは神奈川枠が見え隠れする。
筒香 嘉智(09年1位・横浜高・2011年インタビュー)、荒波 翔(10年3位・横浜高→東海大→トヨタ自動車・インタビュー2013年、2014年、2015年)、三上 朋也(県立岐阜商高→法大→JX-ENEOS)、倉本 寿彦(横浜高→創価大→日本新薬)など少なくない選手が「神奈川」「横浜」というキーワードを携えて入団しているのだ。ソフトバンクの九州枠に匹敵する勢力と言っていい。

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ

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